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司の家づくりコラム:vol.4 新築 木造住宅のメリット・デメリットとウッドショックについて

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司の家づくりコラム4回目のテーマはこちら。

新築 木造住宅のメリット・デメリットとウッドショックについて

当社は自然素材を使った住み心地のいい家づくりを目指しています。
木は柔らかく温かみのある材料ですし、鉄骨などに比べ低コストであることから人気の高い構造材です。
しかし、その反面鉄骨やコンクリート住宅に比べ、耐震性や耐火性などから不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。

今回は木造住宅のメリットやデメリット、木造住宅に興味のある方は注目の話題の「ウッドショック」についてまとめてみたいと思います。

木造住宅のメリットとデメリット

注文住宅に採用される建築構造は、大きく木造、鉄骨造、RC(鉄筋コンクリート)造の3種類に分類されます。
そして木造住宅はさらに木造軸組工法(在来工法)と木造枠組壁工法(2×4、木質パネル工法)の2種類の工法に大きく分けられます。

司建築計画では、木造軸組工法(在来工法)を採用していますので、木造軸組工法にフォーカスして説明したいと思います。

木造軸組工法は、日本の伝統的な工法で、柱や梁、筋かいといった構造材で骨組みをつくり建物を建てていきます。

メリット
■住み心地が良く、光熱費が節約できる

木造の家は他の素材に比べて熱伝導率が低く、調湿機能にも優れているため、外気の暑さ、寒さ、また蒸し暑さや過乾燥の影響を受けにくく高い住み心地を確保してくれます。

熱伝導率とは、熱の伝わりやすさを表す比率です。
木と鉄では鉄の方が400倍熱伝導率が高いと言われています。

木のベンチに座ることができても、ベンチの脚や手摺などの鉄の部分は触れないという経験はありませんか?
それくらい鉄の方が熱を持ちやすく伝わりやすいということです。

つまり、構造が鉄骨だと、室外の暖気・冷気が鉄に伝わり、それが室内まで伝わってしまうのです。
そうすると、夏には冷房、冬には暖房の効率が悪くなることに。結果として、木造の家の方が光熱費を節約できるのです。

また、木材には湿度を適度に調節する働きがあります。
この調湿性も、私たちが感じる「暑さ」「寒さ」に大きく関係しています。
こうした木材の断熱性、調湿性が快適で心地よい空間を作り出してくれます。


■間取りの自由度が高い

柱や梁などの軸組で支える木造軸組工法の建物は、部屋の広さや形を比較的自由に調節することができます。

自由設計、4つのポイントについてはこちら→

■開口部を大きく取れる


壁ではなく軸組で支える工法であるため、大きな窓などが設けやすいというメリットがあります。

デメリット
■耐震性が弱いのでは?

一般的に「木造住宅=地震に弱い、鉄骨造・鉄筋コンクリート造住宅=地震に強い」というイメージがありますが、実は必ずしもそうとは言い切れません。
構造を補強する筋交いや耐力壁などを採用することによって、揺れを最小限に抑えられます。

また、建物の強さを表す指標として、住宅性能表示の耐震等級があります。
建築基準法の範囲内を等級1、建築基準法の1.25倍の強さを等級2、建築基準法の1.5倍の強さを等級3として、3段階の等級が設けられていますが、
これは「木造」「鉄骨造」などの建材の種類による違いはありません。
同じ等級なら同程度の強さが保証されており、等級2の「鉄骨造」もあれば等級3の「木造」もあるというわけです。
当社は、耐震等級3の設計を行い、建築基準法の1.5倍の強さを標準仕様としています。


地震に強い家についてはこちら→


■防音効果が低いのでは?

最も高い防音性が期待できるのは鉄筋コンクリート造住宅で、生活音をほぼ遮断してくれます。
一方、木造住宅は鉄筋コンクリート造住宅に比べて遮音性が低く、大きな音を立てると周囲に響いてしまうこともあります。
司建築計画では、防音効果を求められるお客様には、防音効果が期待できるスーパーウォール工法を取り入れた「木cocoti + ECO」もご紹介しています。
 ※スーパーウォール工法は木造軸組工法と高気密・高断熱の効果を発揮する高性能パネルを組み合わせた工法になります。

当社の「木cocoti + ECO」についてはこちら→


■ウッドショック

最後に・・デメリットではありませんが、一般のニュースでも取り上げられるようになったウッドショックについても触れたいと思います。

一般的には鉄骨や鉄筋コンクリート住宅に比べ建築費用が安い傾向にあり、手の入りやすい材料であるといえます。
しかし、2021年に入ってから、世界的に「住宅用の木材不足」と「木材の高騰」が問題となっています。
特に4月以降、木材の高騰の傾向が顕著です。
国内でも影響が出始めており、「ウッドショック」という言葉が使われるようになりました。
「ウッドショック」の発端は、超低金利の影響などで米国の住宅着工戸数が急増したことにあります。
米国の木材価格は約4倍に跳ね上がり、これに中国の景気回復による木材需要の拡大やコロナ禍で海上輸送コストが上昇したことも重なり、世界的に木材の供給不足に陥りました。

 日本では、国産材は全体の3割ほどにとどまり、7割がアメリカ材などの外国産の木材を使用しています。
「ウッドショック」は国産材を活用してもらう絶好の機会とも言えますが、担い手不足ですぐに増産できる状況に至っていないのが林業の苦しい現状です。
「ウッドショック」では、特に米松やレッドウッド集成材の価格高騰が住宅市場に影響を与えています。
それらの木材は、木造住宅の主に梁材に利用されています。梁には構造的に強度の高い木材や樹齢の長い太い木材が求められますが、
国産の木材は梁に適したものが少ないため、梁の多くは輸入材に頼っている状況にあります。
一方で、主に柱に用いられるスギやヒノキについては国産材でも調達しやすいことから、「ウッドショック」の影響は比較的少ないものとされています。しかし、需給バランスに合わせ、国産材の価格も上昇しているようです。
「ウッドショック」は「いつ終わる」とは現時点では言えませんので、これから家づくりをされる方はご心配かと思います。

当社は、このウッドショックについて、お客様へ出来る限り正確な情報提供をしていきたいと考えております。


住宅の構造材は見た目にはわからなくても、日々の暮らしに大きな影響を与えるものです。
メリット・デメリットをしっかり見極めて、満足できる家づくりをしてくださいね。


工法や耐震等級についてまとめた【当社の標準仕様】についてはこちら→